ヒツジ この地の果てに木を植える ここより先は真っ白で何もない世界。 この地の果てに木を植えます。 木は味気ない白の世界に少し波紋を起こします。 何もない世界を眺めているこの子たちは わたしの世界の住人で わたしは彼らの世界の住人です。 世界は重なり合ってあるけれど それぞれにひとつづつきちんとあるものなのですね。 真っ白な世界の持ち主は誰? それはたぶん、それを見ているすべてのみんな。 ヒツジ人植物
人 つた つたを取りに行く。 使い勝手の良い少し大きめのかごを編むため そして、今年の豊作を願う祈りのリースを作るため。 つたは最初、それぞれに巻き付いている木から離れるのが イヤだと言った。 だけど、そのうち大切に使われるのなら かごになるのも別にいいのではないかと思い、 神様との橋渡しとなる祈りのリースになるのもまた価値のあることだと 考えを変え、はらりと木に巻き付いた力をゆるめたのでした。 人植物
人 天才の庭 彼は産まれたときから誰に教えられることもなく 周りの人とは違うものを見ていました。 彼は数学の天才です。 ほとんどの物が見ようと思えば数字に見え、 それらは全部彼の一部となりました。 彼の趣味である庭作りは 彼の頭に心地よく 庭はにぎやかすぎる人たちに邪魔されず 自分の世界にそっといられるパラダイス。 人植物
架空の生き物 四葉のクローバー 小人たちは貴重な四葉のクローバーを 封筒に入れていろんな人に送ります。 悲しいお別れをして落ち込んでる人 自分に自身がなくなって元気のない人 だれかにいじわるされて悲しんでる人…。 そんなひとたちにしあわせの四葉のクローバーを送るのが 彼らのお仕事のひとつです。 架空の生き物植物
人 水面(みなも)の薬草 水面に生える薬草を近くの川にとりに行く。 三枚葉のその植物は、美しい水にしか生えません。 昔はどこの川にも生えていたのに 今では山間の小さな川に生えるだけ。 貴重な薬草を絶やさないようにとりに行くのはこれが最後。 わたしたちは、ここを離れて 今度はまちがいのないように暮らす旅に出るのです。 人植物
架空の生き物 ゼブラサボテンの精 植物にはそれぞれの精がいるよ。 その気で見たらだれにだって見えてくる。 このゼブラサボテンの3つの株だって、 よく見てると真ん中の株のように ついうっかり人に姿を見せてくれたりする瞬間が あったりするから。 架空の生き物植物